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ヤーミン・チーパオ の シルクロード 

  会社辞めた組夫婦のユーラシア横断滞在記

シベリア鉄道はモスクワからウラジオストクを結ぶ世界一長い9288キロの鉄道。僕たちのスタートはモスクワより800キロほど北西にあるサンクトペテルブルグだったから、合計10000キロを超える列車の旅となる。

その前半戦のゴールとしてバイカル湖観光の拠点となるイルクーツクを目指す。タタール語で『豊かな湖』という意味を持つこの三日月形のバイカル湖は、世界で最も深いことと、透明度が高いことで有名だ。地理の授業でも習ったし、地図でも見つけやすい。

イルクーツクはモスクワから5152キロ(サンペテからだと約6000キロ)離れている。モスクワで列車を乗り換えるが、全部で5泊6日の列車旅行だ。

サンクトペテルブルグからモスクワまでは三等寝台で夜出発して朝着く。
ここで軽く等級別の寝台を紹介しておく。一等寝台は二人一部屋。二等寝台は四人一部屋(二段ベッド二個)。三等寝台は部屋にはなっておらず、座席とテーブルがうまい具合に(まるで超合金ロボのように)変身し、粗末ながらベッドとなる。料金は、概ね、一等が二等の倍で、二等が三等の倍というぐあいだ。

サンクトペテルブルグを出発したあたりでは、列車の中は暖かかった。しかし、明け方、暖房が切れた。凍え死にそうなぐらい寒くて寝られない。起き上がってコートを羽織る。あぁさぶ~。僕の席の窓枠の内側が冷凍庫みたいに凍っていた。

モスクワでは乗り換え時間が5時間ほどあったので、駅に荷物を預けて、赤の広場とその近所の百貨店へいった。そこで白いチェブラーシカのぬいぐるみをみつけて『きゃーかわいぃー』と叫んで駅へ返ってきた。

さぁ、いよいよシベリア鉄道だ。ウズベキスタンで突然思いついたこの旅の帰り道。ほんまに乗るとなると夢みたいだ。5152キロ、4泊5日の旅。今回は二等寝台。これだけ長い旅となると同室の人がどんな人かが非常に重要だ。ウォッカを常に飲み続けるようなロシア的な酒豪はちょっと困る。カザフスタンへの国際列車で出会ったようなマナー最悪の中国人もごめんだ。ただただ普通の人でありますように。

ドキドキしながら乗り込む。まだ出発30分前なのだが同室の人は既に座っていた。若い兄ちゃんと優しい顔のおばあちゃんだ。あぁよかった~。『ズドラーストヴィーチェ』挨拶を交わして早速生活の準備に取り掛かる。食料、着替え、洗面用具、サンダルなどを出して、棚に納める。さて、ベッドはどれかな?と思い、兄ちゃんとおばあちゃんに聞いてみる。すると二人とも下だと言う。ん、おれら二人が二人とも上なのか?それはちょっとおかしい。チケットを見せてみる。なんと俺がみてた数字は座席番号ではなかった。あぁ恥ずかし~。ロシア語やからわからへんもん!

兄ちゃんが本当の部屋と座席まで連れて行ってくれた。一旦広げてしまった荷物をせっせと運ぶ。で、新しい本当の部屋の人はどうかというと、これがなんとウソみたいな話だが、若いころのキャメロン・ディアスに似た美人のロシア人だった。彼女はアーニャという名で、モスクワから4000キロほど離れたクラスノヤルスクまで3泊4日でいくとのことだった。どうぞよろしく。

彼女が降りるまでの4日間、この部屋には誰もこず、3人で過ごした。英語が話せるし、志保と歳も近いので、ずいぶん志保と仲良しになった。シャイでおとなしいけどすごくいい子だった。降りていく日の彼女は車内の彼女とは違って、化粧ばっちりでキャメロン・ディアス以上だった。ありがとぅ、アーニャ。さよなら。

さて、このシベリア鉄道、一両につき二人の乗務員(たいてい女の人)が乗っており、掃除や車両点検などを行っている。なかなか怖いおばちゃんで流しにお茶っぱを捨てようもんなら、『つまる!』といってすごい剣幕で叱られたりする。駅でのんびり買い物なんかしていると、早く乗れとこれまた叱られる。しかし、まぁ悪徳警官のように悪い人たちではない。

このシベリア鉄道の線路沿いにはキロポストがたっていて、1キロごとにモスクワからの距離を表示している。これによって、僕たちはモスクワからどれだけ遠ざかって、日本にどれだけ近づいたかを、数字で知ることができるのである。

シベリアの大地はとにかく広大で白樺の木が生い茂っているのが印象的だった。たまにある集落には、丸太小屋や木の家が並んでいる。この厳しいシベリアの地にあるこの集落では、一体どのような生活が営まれているのであろうか?想像さえできない。

志保の書いたひとつ前のブログ『シベリア鉄道での一日』にあるように決して退屈ではなく、昔習ったオビ川やエニセイ川を越え、ツンドラ地帯やタイガの森を抜けて、あっという間に4泊5日が過ぎてしまった。もうイルクーツクだ。

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  • Author: 辰巳雅敏
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